rainy

春の雨



「なんか、物憂いっていうのかな。」


撮影の合間。
朝から降っている雨は「しとしと」という表現がとてもしっくりしていた。
冷たい雨ではない。
色鮮やかな傘をさして、春色のレインコートに身を包んで歩く、彼女。
そこだけが、ほんわりと暖かくきらきらしてみえる。
・・微笑んでるから。


「村雨に物憂いなんて、言われると返す言葉ないよなぁ。」
すこし揶揄うような声。
「ひどいっすよ、オレだって、こうなんていうか繊細なっつーか。」
「せ、繊細っ。」
「ほら、繊細はあっち。村雨が物憂いのはさ、雨で傘さすの、めんどくせっとかだろ?」


黒い傘、黒いコート。
長身のその人が、柔らかく微笑みかける。
花柄のレインブーツをちょっとみながら、俯き加減に近寄る。
ドキドキする。
その微笑みは、心を踊らせてしまうのに充分すぎて。
しとしと降っている雨は、なんだかちょっと、優しい。
傘があるから、、
飛び込んでしまいそうな自分にブレーキ。
傘と傘
その距離なら、すこし染まった頬もわからない、筈。
うん、傘は明るいパステルピンク。
その照り返しでちょっと、ね。

「傘が、、邪魔だね。」

ドキン。
な、なんてこと言ってるんですかっ。

ばさっ
急に閉じた黒い傘。

「入れて。」

急に近寄る、顔。
重なった手。

「いっいい、意味がわかりませんっ!」

大きな身体がかがむようにして、入ってきたって、濡れてしまう。

「ん、キミの傘の方が大きいし。」
すいっと傘を持ち上げられて、キョーコは手を離した。
「ほら、濡れちゃうから、、離れない。」
ぐいっと肩を抱き寄せられて。
「は、、い。」
しゅん、と俯く。
真っ赤になった顔は見られたくないし。


公園での撮影。
シーン的には狙っていた雨。
大きな休憩所もあって、出演者達はそこでたむろいながら、出番をまっている。
蓮もキョーコも撮り終えて、休憩所に戻る、途中。


はぁ~
「なんだよ。・・・あああ!そりゃ、物憂いな。」
貴島が村雨のため息に返す。
敦賀君、隠さなくなったもんな。
「付き合ってんですかね。」
ぼそっと村雨がいう。
「片思い、らしいよ。」
貴島は答える。
「どっちが?」
「だからさ、きみに繊細は似合わないっていったの、俺。」
両方に決まってんじゃんか。
「何、京子ちゃん、タイプなんだ?」
「タイプじゃないって、思ってたのにな。」
あ、ちょっとわかるけどな。
・・・てか、隠してないんじゃなくて、これも牽制なのか?


肩も背中もすこし濡れるけど。
どうしても、肩をだいて歩きたくて。
すこしでも君が濡れないといいなって。
ほんとうは、コートの中に隠したいぐらいだけど。
傘の下からのぞいていた、あの微笑みを、近くで見たかった。

・・こっち、向いてくれないかな。
・・こっちみて、笑ってくれないかな。


「なんだか、切ないな。」




end





********
いや、また思いつき。
今朝傘をさしてて、。

なにやら視点も心情もごちゃまぜにしてみました。



web拍手 by FC2 初出:2014/10/27

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